スウェーデンの児童ケアは、1960年代から、女性の社会における平等を求める声に応えるため、また社会の発展の中で、こどもの権利を擁護するために発展してきました。長い間少子化問題と取り組んできたスウェーデンでは、家庭と子ども、そして社会経済のバランスのとれた政策のもとに、急激な少子化も緩和されるようになりました。また、スウェーデンの子どもの権利を擁護する立場は、国連での「子どもの権利条約」の成立にも貢献するなど、世界的にも大きな影響を与えています。
育児休暇について
スウェーデンの育児休暇は、父親と母親合わせて、子ども1人につき480日(約16ヶ月)の取得が認められており、育児休暇中は、最大で給与のおよそ80%を受給できる権利があります。育児休暇の16カ月のうち父親のみが取得できる育児休暇は2カ月間ですが、2016年からはその期間を1カ月延ばして3カ月間となり、スウェーデンはますます父親に優しい国へと変わっていきます。そして、男性が子育てや家事の話をするのは当たり前なこの国では、平日の昼間にベビーカーを押す子連れの男性の姿をよく目にします。
プリスクール(就学前教育)とは?
プリスクール(就学前教育)とは、学校教育において初等教育より前の段階にある教育のことを言います。スウェーデンでは6歳になるまでのプリスクール(就学前教育)の間に、民主主義について学びます。子どもが自分で考え、自分の意見が言える人になるよう育てる、先生やテレビや大人の言う事をそのまま鵜呑みにするのではなく、批判的に考えられるように働きかけています。
子供たちは男女平等や人権(差別をしないこと)についても学び、プリスクールの先生は、児童の潜在能力を引き出す事に注力します。また、子供たちに様々な経験・成長を促すために、多くのプリスクールでは園外での活動を頻繁に行っています。植物や動物、自然を学ぶために郊外に出掛けたり、アイススケートやクロスカントリー、水泳なども日々の習慣的な活動の中に含まれています。
プリスクールの運営、予算について
スウェーデンでは、国が社会保障を、県が医療を、市が福祉・教育をそれぞれ管轄しています。通常、プリスクールの運営は市営が行っていますが、民営のプリスクールも存在しています。スウェーデンには現在、市営のプリスクールが約7300箇所、民営のプリスクールが約2700箇所あり、1歳~5歳の子どもの約8割が市営のプリスクールに通っています。市営民営ともに市のお金で運営されているため、子供たちの親は市に対して保育費用を払っています。その際に、学生や失業者は金額が安くなります。
※民営では、①職員生協、 ②両親生協、③株式会社、④財団、の運営による4種類。
また、プリスクールは基本的に金額が安い(親の収入状況によって金額が変わる)ため、親はコストの心配をせずに子供たちを預けます。1週40時間(1日8時間)で、第1子は約1200SEK、第2子は 約800SEK、第3子は約400SEK、第4子からは無料となっており、母親の育児休業中であれば給与の80%が支給(大手企業では100%支給)されます。