障害者福祉

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1960年代に生まれた「ノーマライゼーション」の理念は障害者ケアに大きなインパクトを与えました。障害の有無や年齢に関係なく、誰もが人間としてノーマルな生活を送り、共に地域で生きる社会を作ろうという志は、特に障害者にとって意義深い活動の提供、教育、仕事などの社会活動に表れています。

障がい者の現在

1994年、スウェーデンではLSS法(特定の機能障がい者に対する援助およびサービスに関する法律)が施行され、ノーマライゼーションの理念の下、知的障がい者施設を廃止し、ケアの責任(障がい者への福祉サービス、特別住居によるリハビリ、補助器具の貸付など)や医療的支援はランスティング(県レベルの地方自治体)からコミューン(市町村)へと移管しました。そして、LSS法の制定にともない、自己決定権と人格の尊重、自立のための援助が強調されるようになり、対象者(65歳以下の知的障害者、重症心身障害者、日常生活において援助およびサービスを必要とする者)は個別援助、パーソナルアシスタント、生活アシスタント(コンタクトパーソン)、ガイドヘルパー、デイケアなどが含まれている「10の権利」を受けることができるようになりました。権利制度の中でも、障がい者の自己決定権や生活を最も向上させたのはパーソナルアシスタント制度(本人の手足の代わりとなる個人専属の介護者)の導入だと言われています。

現在では、障がい者は施設から地域サービス・住宅へと移管し、重症心身障害者でもグループホームや自宅で生活を送っております。昼間には仕事の代わりにデイアクティビティセンターへ通ったり、障がいのレベルによっては仕事をしている人もいます。また、ほとんどの障がい者は健常者と同じ学校に通いますが、知的障がい者は特別学校へと通います。その際の費用はコミューンが支援してくれるおかげで、本人の経済状況関係なく療者にとってコストの心配はありません。このように、現在のスウェーデンでは、普遍的なサービスの実現とケアの提供を確保した合理的な制度体系を構築しています。

障害者ケアの種類

【ハビリテーションセンター】

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障害を持つ人が社会参加でき、できる限り自立して暮らせるように支援するためのセンター。このタイプのセンターでは、様々な種類の個別トレーニングが実施されている。

 

 

 

<スタッフ>
理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語療法士、特別教師、心理士
<学習・支援項目>
言語発達、社会関係、心理的発達、運動能力、コミュニケーション、他者と遊ぶ能力、日常活動の実行、社会活動への参加
<その他のサービス>
治療、 福祉用具の処方、在宅適応のためのアドバイス、本人の障害に関する特別な情報、心理士やソーシャルワーカーとの相談
<利用者>
知的障害者、身体障害者、自閉症、重度の精神障害者、聴覚障害者、視覚障害者、視聴覚障害者、盲ろう者、事故等による脳損傷者 等

【プリスクール(保育園・幼稚園:1~6歳の子供が通う)】

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スウェーデンの全ての子供はプリスクールに通う権利があります。障害児も一般のプリスクールに通います。プリスクールでは障害児が入った場合には市から特別な予算が出て、先生を増員することができます。スウェーデンでは子供が小さい時から、健常者と障害者が一緒に過ごすことがとても大事だと考えています。重症心身障害児の為の特別なクラスも一般のプリスクールの中にあります。

【小学校・中学校・高校(7~20歳)】

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知的障害者の為に特殊学校や特殊クラスがあります。知的障害のレベルによってクラスが分けられています。また重症心身障害児の為に個別的なカリキュラムを一人ひとりに提供しています。

 

【障害児の為のショートステイ施設】

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スウェーデンでは、重度障害をもつ子供でも親と一緒に住んでいます。しかし、親が障害児の世話にだけ時間を取られない様にする為に、子供を預けるショートステイの施設があります。
施設の規模は小さく5人程度が泊まれ、1ヶ月の間に1日~2週間まで滞在することができます。
また障害の種類によって対応している施設もあります。
平日子供達は幼稚園や学校に通っているので、その後送迎サービスを使って施設まで行きます。
幼稚園や小学校、ハビリテーションセンター、親はチームワークをとって子供の状況を同時に把握し、どこでも子供に対して同じ対応が取れるようにネットワークがとれています。

知的障害者のためのデイアクティビティーセンター】

通常の仕事に就業するには困難な障害をもつ方のためのセンター。すべてのアクティビティにわたる総合的目標は、『職を得て自立するチャンスを増やすこと』である。もちろん、これはすべての利用者にとって可能というわけではないかもしれないが、その場合はアクティビティの目標は『その個人に日常生活において、意味深い活動を与えること』となる。このタイプの施設におけるアクティビティは、様々な種類の製品作りもしくはハビリテーション活動に焦点が置かれる。

アクティビティの例:手工芸、アートワーク、手工芸品や中古品販売のショップ運営、音楽活動、スヌーズレン(視覚・触覚などの五感を刺激することで深いリラックスに導きやすくするための部屋)

通常このタイプのセンターの利用者は、障害者年金を受け取っているが、センターのアクティビティに参加した日数によって少額のお金を受け取っている。

【知的障害者のためのグループホーム】

ひとりで生活していくことが難しい知的障害者のための施設。施設にはケアスタッフが24時間体制で常駐している。ひとつのグループホームは5つの個室と共同で使用することができるリビングルーム、キッチンからなっている。個室の広さは約40㎡で、単独のバスルーム、キッチン、ベッドルームが備え付けられている。

【パーソナルアシスタンス】

週20時間以上のサポートを必要とする重度の障害者は、パーソナルアシスタンスサービスを利用することができる。パーソナルアシスタントの人選は利用者自身が行う。アシスタントの目的は、本人ができる限り自立できるようにすることである。24時間体制でパーソナルアシスタントを利用している人もいる。

【サムハル社会事業団(SAMHALL)】

1980年に創立されたスウェーデン王国が所有する政府直営の企業で、職に就く上でハンディのある人々に対し、意義のある、職業として雇用の機会を提供することを経営コンセプトにしている。スウェーデン全国の250か所に22,000人の従業員を擁するスウェーデンで最も大きい企業グループのひとつ。雇用者の約9割が何らかの障害を持っており、空きのある仕事をあてはめるのでなく、できるだけ本人の希望に沿うような仕事を発掘するべく努めている。事業内容は多岐にわたり、工場勤務、組み立てや荷詰め、倉庫保管と物流、清掃事業、レストラン運営などがある。